多様性、平等、包括性

グッチはあらゆる形で多様性、平等、包括性を支持します。職場での平等にコミットし、全員がグローバルコミュニティの一員であると感じられるようにするとともに、一人ひとりが本当の自分らしさを維持しながら、成長できるようにします。見えるものも、見えないものも、一人ひとりを特別な存在にするためのすべての要素を重視し、違いを認め、尊重し、評価することで、互いに支え合います。グッチにとって、包括的であることは、誰もがそこに帰属し、公平に扱われ、個人として寄与し、成長し、成功できる場所を構築することを意味します。

ガバナンス

2019年、グッチは初のグローバル・エクイティ・ボードを設立。社内の幹部で構成されるこの委員会は、ジェンダーの平等と女性のリーダーシップという強固な基盤を引き続き構築しつつ、全社的な多様性、平等、包括性をさらに推進することを目的としています。

グッチの4つの基本理念

  • コミュニケーションや理解、共感を高めるための研修プログラムやリソースグループ、オープンな対話の機会を継続的に提供することで、グッチの全社員に対して包括的な職場環境を確保する。
  • 管理職レベルの多様性を高める。
  • 組織内における同等の役職の男女間の賃金格差を監視し、解消する。
  • 障がいを持つ人がより活躍できる職場環境を整える。

グッチの従業員

グッチは、データをありのまま提示し、そのデータから正しい行動や改善できる点を読み取ります。

グローバル ジェネレーション

グッチの人材チームがまとめた2018年から2024年までの年次データで、グッチの全世界の従業員の世代と年齢の割合を示しています(ベビーブーマー、ジェネレーションX、ミレニアル世代、ジェネレーションZ)。四捨五入の関係上、合計が100%にならない場合があります。

世代別合計

  • ベビーブーマー:0.7パーセント
  • ジェネレーションX:26.1パーセント
  • ミレニアル世代:57.2パーセント
  • ジェネレーションZ:16.0パーセント

2024年12月31日現在のデータ

*管理職には、企業、小売、営業、製造部門における部下を持つ役職が含まれます。

グローバル ジェンダー

グッチの人材チームがまとめた2018年から2024年までの年次データで、グッチの全世界の従業員と管理職の表明するジェンダーの割合を示しています。四捨五入の関係上、合計が100%にならない場合があります。

総従業員の性別の内訳

  • 女性 63.5%
  • 男性 36.5%

2024年12月31日現在のデータ

管理職の性別の内訳

  • 女性 58%
  • 男性 42%

2024年12月31日現在のデータ

*管理職には、企業、小売、営業、製造部門における部下を持つ役職が含まれます。

米国における人種と民族

グッチの人材チームがまとめた2018年から2024年までの年次データで、グッチ アメリカの従業員と管理職の表明する多様性の割合(アメリカインディアンまたはアラスカ先住民、アジア系、黒人またはアフリカ系アメリカ人、回答を控える、ヒスパニックまたはラテン系、ハワイまたはその他の太平洋諸島の先住民、2つ以上の人種、白人)を示しています。四捨五入の関係上、合計が100%にならない場合があります。

米国の人種および民族ごとの合計

  • 0.3% アメリカインディアンまたはアラスカ先住民
  • 14.1% アジア系
  • 16.2% 黒人またはアフリカ系米国人
  • 31.4% ヒスパニックまたはラテン系
  • 5.3% 回答を控える
  • 0.7% ハワイまたはその他の太平洋諸島の先住民
  • 4.6% 2つ以上の人種
  • 25.9% 白人
  • 1.5% 該当なし

2024年12月31日現在のデータ

米国の管理職の人種および民族の内訳

  • 0.4% アメリカインディアンまたはアラスカ先住民
  • 13.1% アジア系
  • 13.1% 黒人またはアフリカ系米国人
  • 24.3% ヒスパニックまたはラテン系
  • 5.1% 回答を控える
  • 1.1% ハワイまたはその他の太平洋諸島の先住民
  • 4.4% 2つ以上の人種
  • 37.4% 白人
  • 1.1% 該当なし

*管理職には、企業、小売、営業、製造部門における部下を持つ役職が含まれます。

機会均等雇用主としてのグッチ

グッチは、背景、視点、経験の異なる人々が一体となることで職場は豊かになると信じています。これにより、各自の才能を、個人としてもチームとしても発揮できる空間が生み出され、同時に、絶えず変わり続ける世界に対する適合能力も培われます。以下に、ごく一部ですが、代表的な包括的職場づくりに向けたグッチの取り組みについていくつかを紹介します。

2023年、グッチは、イタリアのラグジュアリーブランドとして初めて、イタリア政府によるイタリアの再興・回復のための国家計画(NRRP)が導入しているジェンダー平等認証(PDR125: 2022)を自主的に取得しました。ビューローベリタスが実施する審査プロセスは、企業文化と企業戦略、ガバナンス、人事プロセス、女性の成長とインクルージョンの機会、賃金におけるジェンダーの平等、育児支援とワークライフバランスという6つの指標に基づいています。この認証は、ジェンダーの平等に対するグッチの具体的な取り組みを強調するものであり、平等を支持する実行可能なイニシアティブの実践を目的とした、ジェンダー平等推進委員会(Gender Parity Steering Committee)が主導する包括的な戦略プランに沿って推進していく予定です。

グッチの多様性、平等、包括性に関するポリシーは、選考から採用、研修への参加、キャリアパス、報酬に至るまで、推進委員会、管理部門、人事部門によって、企業の人材ライフサイクル管理の前段階における機会均等や実力主義の原則を通して、推進委員会や管理部門、人材部門によって実施されています。

いかに人材を惹きつけ、募集し、選び抜くか

  • 多様なリーダーシップに焦点を当てた採用および面接プロセスにおける、包括的な取り組みを拡大。
  • 人事および人材採用チームを世界規模で活用することで、グッチの包括的な雇用の推進に注力する。
  • グッチ ノースアメリカのGucci Changemakers 奨学金プログラムや、グッチ ロンドンのGucci Changemakers 奨学金プログラムを通じて、ファッションやデザインの業界でのキャリアを目指す多様なバックグラウンドの大学生に奨学金を提供。
  • 面接のための宿泊施設にアクセスしやすくすることで、候補者の応募プロセスを改善。

いかに従業員を育成し、惹きつけ、定着させるか

グッチで働くということは、一人ひとりの声が聞き届けられ、一人ひとりの個性を十分発揮でき、生きがいを持てる環境でキャリアをスタートさせるということです。グッチは、以下のようなイニシアティブを通じて、グローバルチームをサポートしています。

  • グッチは教育プログラムをはじめとする取り組みを通じて、従業員を育成し、惹きつけ、定着させます。
    • 2021年9月、無意識の偏見についての理解および認識、包括的なチーム活動、より包括的な職場作りに注力したグローバル D&I デジタルトレーニング プログラムを開始しました。このトレーニングはすべての新入社員に対するオンラインでの新人研修の一環として取り入れられています。これまでに世界各国の小売店舗やオフィスに勤務する約9,000人の従業員が、このオンラインでの学習パスの基礎を完了しています。
    • 初めてマネージャーになる人は、一般社員からチームリーダーへの移行を支援する学習プログラムに参加しました。このプログラムには、企業価値の手本を示して指導すること、そして包括的に指導することに対する理解も含まれています。2020年から2024年にかけて、本社および小売店舗に所属する計1,539名のマネージャーが参加しました。
  • グッチにおける多様なコミュニティ、障がいを持つ人、女性、さらにこうした人々を理解し寄り添おうとする人、またLGBTQIA+に焦点を当てた従業員リソースグループへの参加機会を設け、帰属意識とサポート力のあるコミュニティを育む。本社では、従業員リソースグループ(ERGs)の起ち上げが大いなる関心を呼び、2023年にWomen in Luxury for Women Empowermenと、Accessibility for Disability Awarenessという2つのグループが誕生しました。また、2024年には、LGBTQAI+ コミュニティのためにP.r.i.d.e.という新たなグループも設立されました。The Gucci Woman in Luxury Italy groupは、2023年と2024年に国際女性デーのイベントに参加し、AIやテクノロジーにおける包括性や、アライシップの重要性といった、主要なテーマで会議を企画しています。こうしたイベントの内容は数百人の従業員に届き、意識高揚につながったほか、ジェンダーの平等や包括性についての意義のある対話のきっかけとなりました。
  • LGBTQIA+の個人の権利を継続的に保護し、企業向けの国連LGBTビジネス行動基準を守ること。これには、職場での差別を排除し、事業活動が顧客やサプライヤー、一般人に対する差別の原因とならないようにし、ビジネスパートナーと協力してサプライチェーンの上流と下流での起こりうる差別的慣行に対処することが含まれます。グッチは、多様性の尊重、特に性的志向や性自認といったテーマに特化した優れた実践方法の推進に取り組むイタリアの組織、Free and Equal Parksのメンバーでもあります。
  • 社会的正義や教育、環境対策、芸術文化支援を促進する非営利組織の支援におけるプロジェクトを通じて、Gucci Changemakers ボランティア プログラムにグローバルで機会を提供し、従業員と、地域コミュニティをつなぐ。2024年は3,500人近い従業員が、少なくとも1つのボランティアプログラムに参加し、世界全体で5,800件以上のボランティア活動に貢献しました。特に、女性のエンパワーメントを教育面や社会的、経済的に支える活動や、子どもの教育へのアクセスを支援する活動が多く見られました。
  • グッチの戦略の鍵となるのが、男女の育児休暇や、各個人のニーズを促進し重視する取り組みです。また、グッチの福祉対策に組み込まれているワークライフバランスツールを通じて、親である従業員も支援しています。この目的のために取り入れている主要なツールは、ハイブリッドのワークモデルや育児休暇、福祉サービスです。
  • グッチはまた、従業員の幸福がいかに重要であるかを認識しており、バランスの取れた職場環境のための心理的サポートやコーチングを提供しています。グッチ イタリアは2021年より、オンラインの心理カウンセリングサービスと提携し、イタリア国内の全従業員に対し、5回の無料セッションを提供しています。ほかにも、定期的にウェビナーを開催し、メンタルヘルスの共通課題に取り組んだり、精神的安定の促進を図ったりしています。
  • また、グッチはすべての従業員に、女性のエンパワーメントのけん引役として、また、経済暴力を撲滅するための一手段として、金融教育の意識を高めてもらう取り組みを進めています。

リーダーシップレベルにおけるジェンダーの多様性の増加

  • 2024年、全世界の従業員の63.5パーセントが女性で、管理職の58パーセントが女性でした。
  • 取締役会への女性参加を奨励し、定期的に評価を行っています。

男女間の賃金格差是正

グッチは公正な職場環境を目指して具体的な行動を起こし、結果として業界の模範となる取り組みを行っています。

  • 2021年、グッチは45か国以上を対象に男女間の賃金格差是正を分析しました。その分析を通して、説明できない男女間の賃金格差を確認し、将来的なアクションを見極めることができました。残る格差是正のための仲立ちをすることを目標に、2023年後半には賃金格差是正に関する新たな分析を実施しました。これにより、説明できない賃金格差を世界規模で減らすことができ、ケリングのUniversal Fair Pay Certification(普遍的適正賃金認証)一級取得につながりました。これはグループの全ブランドに周知されています。
  • また、2024年、英国では、政府の要請に従い英国内の男女間の賃金格差に関するさまざまな情報を盛り込んだ報告書を提出しました。本報告書の詳細はこちらでご確認いただけます。
  • また、フランスの法律に従い、2024年のフランスのジェンダー不平等指数(GII)の結果が98/100であることを報告しています。

障がいを持つ人がより活躍できる職場環境を整える

グッチは内部からのアクセシビリティ戦略を打ち出しており、これはシステムを変化させようと努めつつ、障がい者のインクルージョンに対しこれまでの慣習を覆すようなアプローチを取ることを意味します。

  • 2022年7月、グッチは、障がい者の権利擁護団体である米国障がい者協会(AAPD)と、世界中の400を超える企業を支援している障がい者のインクルージョンを進めることを目的にしたグローバルなビジネスネットワーク、Disability:IN(ディスアビリティ・イン)が共同で発表しているベンチマーキングツール、障がい平等指数®の評価を、ラグジュアリーブランドで初めて受けました。2024年、グッチは3年連続で最高得点である100%を獲得し、アメリカ、カナダ、ブラジルで「Best Place to Work for Disability Inclusion(障がい者のインクルージョンにおいて最も働きやすい職場)」と認められました。
  • グッチはより包括的な職場環境と顧客体験の構築に向けた取り組みの中で、グッチの店舗におけるアクセシビリティと体験の改善を目的としたプログラムをスタートさせました。北米では、アイラと提携し、アイラのアプリを使って障がいを持つ顧客のための店舗内のアクセシビリティを向上させています。また、スタッフへの研修を通してアクセシビリティと包括性への認識を高めています。このような観点から、グッチは2021年に「アクセシビリティは真の包括性である」をテーマとしたワークショップを起ち上げました。
  • グッチは、意識啓発、障がい者に対する偏見の撲滅、より包括的な職場の醸成を目的とした、アクセシビリティキャンペーンを推進しています。2024年の初回は、さまざまな種類の障がいについて、また、同僚同士がどのようにサポートし合えるかについて理解を高めることに重点を置きました。2025年のキャンペーンでは、より包括的なデジタル環境を生み出せる共有ソフトウェア内のアクセシビリティ機能に重点を置く予定です。さらに米国グッチとグッチのイタリア本社では、グッチビリティ そしてアクセシビリティと名付けられた、障がいに焦点を当てた従業員リソースグループに従業員が参加する機会を増やしています。

個人の性自認に合わせた包括的な取り組みを採用する

  • グッチは包括的な社会の実現や表現の自由を目指した取り組みを採用。これには個性や自己表現を尊重した社内のドレスコードも含まれています。

DE&Iの取り組みをサポートするべくグッチが実施しているキャンペーン&プログラム

我々の多くが躊躇していたら、誰も前には進めません。にもかかわらず、ジェンダーの平等の実現に向けてのスピードは早いとは言えません。グッチは、実際に行動を起こし、集団的なグローバルコミュニティへの参加を促すグローバルキャンペーンを通じて、女性や少女、ノンバイナリーな人々の人権を擁護しています。

グッチはコミットメントの一環として、ジェンダー平等や女性のエンパワーメントを支持し、ケリング・ファウンデーションが掲げる目的と緊密に連係するNGOや草の根運動をサポートしています。2013年の同ファウンデーションの設立以降、グッチは、フェミニスト組織や活動家を支援してきました。とりわけ、グローバル・サウスや、先住民の女性、LGBTQ+の人々など、弱い立場に置かれた女性や少女にフォーカスした取り組みを行ってきました。2013年にグッチが起ち上げたジェンダー平等に関するキャンペーンを通じて、グッチは、2024年末時点で196以上の組織と提携し、2,359,000米ドル以上を集め、648,000人以上の女性や少女たちの生活を変えてきました。

2021年、グッチは、2026年までにジェンダー平等への取り組みを加速させることを目指して、UN Womenによる平等を目指すすべての世代の行動連合で、「フェミニスト・ムーブメントとリーダーシップに関する行動連合」の共同リーダーとしての役割を引き受けました。最近では、平等や立法の改革を促進することを目指して、草の根のフェミニズムや戦略的パートナーシップを通じて、新たな課題や古くからの不平等に取り組むことに重点を置いています。その一例が、ジェンダーに基づく不利益を永続化させている法的枠組みの改革に取り組んでいる組織、Equality Nowへの支援です。グッチは、UN Women Brazilといったイニシアティブを通じて、先住民族の女性をより重視することで、立場の弱いグループの声を広く届けようと継続して取り組んでいます。

イタリアでは、女性や少女に対する固定概念に立ち向かい、暴力を撲滅することで、文化的変化を推進してきました。これには、教育プログラムの支援や、暴力の被害者が経済的自立を得られるよう支援するためのリスキリングイニシアティブも含まれます。主なパートナーシップとしては、Artemisia、BEAWARENOW、Fondazione Una Nessuna Centomila、Cooperativa Evaといった組織との協力が挙げられます。こうしたプロジェクトを通じて、イタリアのクラフツマンシップが高く評価されているほか、Gucci-Up循環プログラムを通じて未使用素材を製造に再利用することで、サステナビリティの促進を図っています。

また、グッチは、ケリング・ファウンデーションとの連携で、男女の従業員を対象に、家庭内暴力をテーマにした意識啓発のための研修セッションを進めています。 ほかにも、インクルーシブなアプローチの一環として、難民の受け入れを積極的に促進しています。特に、「Welcome.Working for Refugee Integration(ようこそ – 難民の統合に向けた取り組み)」プログラムに参加し、複数年にわたってイタリアで難民の雇用を促進してきた活動が認められ、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)より表彰を受けています。

サプライチェーンに対するグッチの取り組み

2019年、グッチはイタリアのラグジュアリー業界のサプライチェーンで働く女性の待遇を把握し、ジェンダーの平等を支援するための具体策やプログラムを特定するために、ケリングがイタリア・ファッション国立商工会議所および3つの専門協会(BSR、Wise Growth、Valore D)と協力して推進している「Supporting Women in the Luxury Supply Chain: A Focus on Italy(ラグジュアリー サプライチェーンにおける女性支援:イタリアでのフォーカス)」調査に参加しました。この重要な調査の後、グッチのサプライチェーンで働く女性たちは毎年、職場におけるジェンダー平等の問題について掘り下げた講習会に参加しています。

ジェンダー平等に対する取り組みと並行して、グッチは、ジェンダーに対応した調達アプローチ用ツールを開発しています。このプロジェクトの目的は、ジェンダー平等をサプライチェーンに沿った購買実践に取り入れることでした。プロジェクトの契機となったのは、UN Womenとウォッチ&ジュエリー イニシアティブ2030主導によるパイロット調査「Advancing Gender Equality through Gender-Responsive Procurement in the Watch and Jewelry Industry(ウォッチ&ジュエリー イニシアティブ2030におけるジェンダーに対応した調達を通じた先進的なジェンダー平等)」への参加でした。グッチは2024年もこのコラボレーションを継続し、脱炭素の加速化、透明性の向上、ウォッチ&ジュエリー業界バリューチェーンでの包括性の促進などを目的として掲げています。