新しいユニバーサル フレグランス〔グッチ メモワール デュヌ オドゥール〕の広告の出演者のひとり、ハリス・リードが、ジェンダーの流動性に関する自らの体験と思いを伝えます。
ジェンダーレスであること。より突き詰めて言うと、その根本にある精神を尊重し、急速に発展しているジェンダーの流動性という考え方に同調すること。これは私にとって、世界を少しずつ変えていき、社会の障壁を打ち壊し、若者たちに自由をもたらし、他人が決めた理想の生き方や信条に囲い込まれずに、誰もがそれぞれ本当に生きたいように生きられる安全な空間を切り拓くことを意味します。
私たちは幼い頃から、男の子と女の子はそれぞれどうあるべきかを教えられてきました。男女別の振る舞いから、服装や考え方、果てはどんな匂いをしているべきかまで刷り込まれたのです。決められた項目をクリアし、規範に適合するように教え込まれました。そんな出来合いの固定観念を打ち破り、その外に自分自身を見つけ出そうとする人々は、社会から「奇人」「変人」と見なされます。この点でアレッサンドロ・ミケーレがそんな「奇人」をむしろこれからの未来を担う存在と位置づけ、新しいフレグランス〔グッチ メモワール デュヌ オドゥール〕の広告キャンペーンのキャストに選んだのは素晴らしいことです。
このキャンペーンとこのフレグランスは、私を力づけ、希望をもたらしてくれました。皆さんからもこうしたポジティブな反響が得られることを願っています。伝統あるブランドのグッチが、ジェンダーに縛られないユニバーサルフレグランスを発表し、その広告キャンペーンにこれほど多種多様な人々を起用したことは、大きなインパクトを生み出すでしょう。
キャンペーンのテーマである「記憶」は、自らのアイデンティティにも関わるものです。とくに愛する人をめぐる思い出ほど、美しく純粋なものはありません。思い出はまさに、自らを守ってくれる最後の拠りどころとなります。最も古い思い出を振り返るとき、私は愛され、守られ、温かい気持ちになった記憶がよみがえります。霧が立ち込めるマルホランド・ドライブを、父が運転する車に乗って走り抜けていったときのことをいつも思い出しては、守られている感覚とぬくもりを取り戻すのです。思い出が自らを守ってくれるということは実に素晴らしいことで、例えばいま人生の中でうまくいかないことがあったり、迷いや閉塞感を抱いているなら、ときどきただ瞳を閉じて、あのとき考えたこと、感じたこと、心に残ったことを思い出せばよいのです。するとすべてがよみがえり、顔にはほほえみが、心にはぬくもりが戻ってきます。思い出は私を安全な場所へと連れていき、強く力づけてくれるのです。
私は9歳のとき、人と違っていることの素晴らしさを周囲になかなか受け容れてもらえずに日々を過ごしていました。私は同性愛者であり、そのことに誇りを抱いていましたが、他の子の親がそんな私を「けがれなき」我が子に対する脅威と見なしたために、自分の子どもを私と同じクラスにしないように求めたのです。先生までもが私の両親を呼び出して、「ゲイが罪であることはご存じですか」と言いました。私たちは固定観念を打ち壊さなければなりません。個性的であり、人と違っていて、だからこそ普遍的であることを、誰にも恥ずかしいと感じさせてはならないのです。
普遍性の名の下に、世界中の多様な存在はそれぞれ、自らのセクシュアリティ、ジェンダー、人種、障害に対する偏見や差別から解放され、究極的に尊重されます。私が毎朝、本当の自分自身として目覚めることができるのは、人と違っていることに大きな心地よさと自信を見いだせるからなのです。私は他の誰でもない自分自身のために服装を選び、他の誰でもない自分自身のために自由に振る舞い、ただひたすらに自分自身のために本当の自分自身を尊重するのです。
変革を促すには、人と違っていること、個性的であること、迎合しないことが大切です。これまで以上に努力して、人と違っていることはおかしくない、素晴らしいのだということを人々に理解してもらわなければなりません。道を切り拓くには、個性的な開拓者が必要です。型にはまらない人生はずっと素晴らしく、活力あふれたものになるのだということを、自ら証明するために私は日々を生きています。私が息を引き取るとき、未来の若者が私の耳元で「あなたのおかげで、本当の意味で人と違っていることの価値が変わった」とささやいてほしいのです。自分の個性の根本を見つけたなら、それを受け容れて、ジェンダーや生き方を固定しない態度の中に理想を見出すことです。そうすれば、自分こそが新しく生まれた生命であり、未来を担う存在であり、この世界を変えうる人であることに気づくでしょう。世界は今、独自の考えを持ち、行動し、表現する人をこれまで以上に必要としているのですから。
詳細を見る
^
クリップボードにコピー